箱根 所在地   神奈川県足柄下郡箱根町
最寄駅   JR東海道線小田原、三島駅よりバス

東海道第10宿
本陣6、 脇本陣1、 旅籠36、 問屋場2
総人口844、 家数197

三島へ   3里28丁




平成11年(1999)5月16日(日)
小田原での朝、6時に目覚め。ホテルの窓のカーテンを開けると外は雨降り。傘を差して駅へ向かう人の姿がある。
安定したお天気で間違いないだろうと決心したのに、どこで狂ったのだろうか。
今までの全行程で雨降りに歩いた事は一度も無い。最大の難所で雨に降られるとは。

7時30分発箱根関所跡行きの伊豆箱根鉄道バスに乗車。
車窓からは雨に濡れた木々の緑がとても綺麗。高度が上がるに従ってガスがかかったり急に晴れたりする。
レインコートに傘をさしての万全の装備でスタート。

今日のニュースはロシア下院エリツィン大統領の弾劾を否決。




箱根神社の大鳥居 箱根神社の大鳥居
杉並木を抜け湖畔に出ると、町指定の史跡
賽の河原がある。昔は旅人が石を積み念仏を唱えて通ったと言われ、今も多くの石仏、石塔がある。

上を見上げると箱根神社の赤い大鳥居。この辺りが元箱根、バスや遊覧船のターミナルで、食堂やお土産屋さんが並んで賑やかなところ。

箱根神社は湖畔を戻った所、奈良時代中期の創建、箱根権現とも呼ばれ、源頼朝の旗上げを助けた神社として武家政権の崇敬を集めた。
元箱根からの杉並木
元箱根からの杉並木
関所へ向かうと再び杉並木。すぐ左手に
葭原久保(よしわらくぼ)の一里塚跡碑、日本橋から24番目。

その先左手に
旧東海道箱根杉並木碑がある。車道が右手に移り、杉並木本来の姿を残している。

東海道全行程の中で何時までも記憶に残る景色の一つかもしれない。

並木を出ると右手に恩賜箱根公園、駐車場の脇に
箱根八里の歌碑。公園と関の間に箱根関所資料館があり、当時の記録が展示されている。

資料館の庭からは、芦ノ湖に浮かぶ逆さ富士が美しい。残念ながら今日は見えない。
箱根関所跡
箱根関所跡
右の石碑が本御番所跡、礎石が国の史跡として保存されている。
左が足軽番所跡に再建された本御番所。

関所での取締は「入り鉄砲に出女」と言われるが、箱根では特に出女の詮議が厳しかった。当時の様子を人形を使って再現している。
箱根本陣跡の大楓
本陣跡の大楓
関所の木戸を出て100メートルで右折すると、宿の中心地。
今では箱根関所跡バスターミナルや遊覧船の発着所などがある。

その並びに立つ箱根ホテルは
本陣はふやの跡という。東海道に面した庭に大きな楓が1本残っている。これは宿場にあった楓並木の名残と言われる。

当初箱根には宿が無かった。それでは参勤交代の上り下りに難儀するということで元和4年(1618)小田原と三島の宿から各50戸ずつ取り立てて出来た。本陣が六つもあり、街道で一番多い。

この先芦川町まで家並みが続き、ここまでが箱根の宿。
向坂の石畳
向坂の石畳
芦川町で国道と別れ右に曲がる。その先に
石仏・石塔群、大小12基が並んでいる。
ここから茂みに入ると石畳道となり、箱根峠へと向かう。

箱根峠への最後の上りが向坂、丸い大きな石が敷かれ見事である。しかし周りの木が低く傘をさすには少し屈まねばならず、足元は滑るし非常に歩きにくい。

国道を横切ると少し下りの
挟石坂になり、再び国道に出てしばらくで箱根峠。
箱根峠
箱根峠
東海道の最高地点標高846メートル。良い天気なら富士山や芦ノ湖が見渡せる絶好の場所。相模と伊豆の国境で、今は神奈川と静岡の県境になっている。

ここから三島までひたすら下りの箱根西坂。

峠から少し下って箱根CCへ右折、旧道に入って
兜石坂箱根八里記念碑庚申供養塔函南町指定史跡兜石跡碑、踏み分け道のようなばらが平と続く。
小枯木坂
小枯木坂
一椀の粥を施した
接待茶屋跡山中新田の一里塚跡、秀吉ゆかりの兜石、つつじが綺麗な石割坂、行き倒れの旅人を供養した念仏石、急に視界が開ける石原坂

篠笹の藪の中を通る
大枯木坂、国道を横切ると杉林の中よく整備された小枯木坂、石畳の構造や排水の遺構などを判り易く説明した解説板が立てられている。

一本杉の石橋は大きな板石で排水路を覆っていたもの、発掘し復元されている。
駒形諏訪神社
駒形諏訪神社
国道へ降りる少し手前に
雲助徳利の墓。酒好きの雲助の親分の死を悼んで、土地の人が立てた、杯と徳利を浮き彫りにした珍しい墓がある。

国道に出て右、駒形諏訪神社、その中に
史跡山中城址。隣に小田原攻めで倒れた北条・豊臣両軍武将の墓がある宗閑寺。向かいに山中茶屋、団子と甘酒が名物。

この日は山中城祭り、墓前で武者姿の出陣式が再現されていた。
芭蕉句碑
芭蕉句碑
国道を渡って旧道に入ると樹齢は若いが美しい杉林になる。この辺り
山中新田、峠から麓までの間、五つの新田が有る。

ここの石畳は平滑で、角が丸く、すべすべしている。雨に濡れているが杉落ち葉が適当にあって、歩き易い下り坂である。

山中新田を下って国道に出たところ、平坦で視界が大きく開ける。ここを
富士見平と言い大きな芭蕉の句碑が立っている。
    
 霧しぐれ富士を見ぬ日ぞ面白き     芭蕉

明るい石畳の
上長坂(別名かみなり坂)、笹原新田には右手に小屋掛けして四体の石仏、左手に大きな塚を残した箱根旧街道笹原一里塚碑、日本橋から27番目。
初音ヶ原の松並木
初音ヶ原の松並木
下長坂は別名こわめし坂、三ツ谷新田からは国道を歩く。右手に日蓮宗松雲寺小時雨坂大時雨坂題目坂入口に征夷大将軍足利尊氏公建立七面堂旧址碑

臼転坂を出てバイパス合流点に大きな箱根路の碑。この先が初音ヶ原、石畳と松並木が続く。中に錦田の一里塚。並木を出て史跡箱根旧街道の碑箱根大根記念碑

愛宕坂の先でJR東海道線に突き当たる。手前で右折最後の今井坂で三島に向かう。




生憎の雨も峠を下るに従って霧雨のようになり、初音ヶ原まで来ると完全に上がり、三島では陽も射してきた。
2日掛けての峠の上り下り、無事に歩けたことは何より。

今日の行程では箱根峠で合羽を着た人一人を見掛けたのみ。ウォーキングブームなのに歩いている人案外少ない。
朝のスタートが早かったこと、下り一方であったことから予定より早く三島に到着。
三島大社に参拝、「福太郎餅」をお土産に、余裕を持って帰路に着く。


今日の歩数 30,140歩




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