エピローグ


先ほど通った蕎麦の店でお昼を済ませ、甲州道中完歩の感激の余韻を味わいながら下諏訪の宿をもう一度じっくり見て歩き、昨日は休館日で入れなかった上諏訪の片倉館の湯に入ることにする。


「中山道・京方面」
新鶴本店から見て左に曲がる(綿の湯からは正面)と、中山道が宿を通って京へと向かう。左右に格子造りの家が昔ながらの姿で残っている。

中山道・京方面


「まるや」
右角、まるやの看板の下がった大きな格子造りの家、今は工芸と喫茶のお店。

まるや


「桔梗屋」
左角は老舗旅館の桔梗屋で、元禄3年(1690)の創業と言うからとてつもなく古い。文化2年(1805)の木曽路名所図会にも記されているとか。

桔梗屋


「綿の湯を望む」
振り返って綿の湯を望む。

「下諏訪町歴史民族資料館」
桔梗屋の並びに『下諏訪町歴史民族資料館』がある。宿場の町屋を資料館にしたもので、江戸時代の町屋での暮らしの様子がよく判る。

「資料館とみなとや」
資料館の隣の『みなとや』も江戸中期から十代続く宿で、建物だけでなく仕事や暮らし全てが今も残っているのが嬉しいではないか。

資料館とみなとや


「黒板塀に門構え格子造りの家」
その先門構えに黒板塀、格子造りの家、落ち着いた風格がある。

「元本陣のかめや」
引き返して綿の湯の奥に元本陣の旅館、聴泉閣かめやを見る。ここも創業300余年皇女和宮が泊った部屋が残ると言う、歴史を誇る本陣の宿。

「下諏訪宿本陣岩波家の門」
綿の湯で丁字路を左に折れると右手に下諏訪宿本陣岩波家。門と屋敷の一部や庭園などが残っている。中山道で来たときに中を詳細に見学してあるので今日は表から見るだけにする。

下諏訪宿本陣岩波家の門


「児湯の先、屋根にX字型のスズメオドリのある家」
児湯の看板の先にX字片のスズメオドリのある家、前回中山道で歩いた時には気が付かなかった。

「遊泉ハウス児湯」
児湯は三湯の一つで、この施設は下諏訪温泉最大の共同湯。1987年に綿の湯と合併して造られた。 綿の湯跡がここの源泉井。加温・加水・循環なしとのこと。記念に入ってゆくことにする。硫酸塩泉で 微白濁透明の湯。 浴槽は内風呂1つに露天風呂1つ。浴槽からは湯が溢れ出ている。上がった後に牛乳を一杯、とっても気持ちが良かった。入浴料220円、コインロッカー100円、牛乳100円也。

遊泉ハウス児の湯


「児湯地蔵」
前の庭には子宝地蔵、横の碑には『子宝地蔵・昔より子授けの湯と伝へられる児湯の守り地蔵』とある。

「一、二階共黒い格子の家」
児湯の向かいに一、二階とも真っ黒な格子の家がある。これも歴史を感じさせる町屋である。

「綿の湯にある陶板レリーフ」
湯から上がって、良い気持ちで宿場を上諏訪の駅へと向かう。元の綿の湯に戻って陶板レリーフを見る。

「格子のある町屋」
宿の通りを出る直前の右手に、格子が綺麗な町屋がある。

「御柱グランドパーク」
左手の復元された高札場の隣、通りの角に御柱グランドパーク。巨大な御柱のモニュメント、その前には温泉が引かれている。

御柱グランドパーク


「下諏訪駅」
駅前広場に御柱が立っている。写真を撮ろうと思ったら嫌な所に白い軽自動車が止まっている。退いてくれないかな〜と思いながら、良〜く見ると今ここで事故したばかり。関係者がワイワイやっている。

「上諏訪駅ホームの足湯」
JR中央線に乗って上諏訪まで一駅戻る。駅のホームに今流行の足湯がある。この駅には名物の露天風呂があったが、この足湯に変わったのかな? 靴を脱いでズボンを捲り上げるのは面倒なので、見るだけにしておく。

上諏訪駅ホームの足湯


「諏訪湖」
荷物をコインロッカーに入れて、身軽になって出掛ける。先ずは諏訪湖の湖岸に出て凍っている諏訪湖をこの目で見る。氷の上をカラスや水鳥が歩いているので間違いなく凍っている証拠。でも一部観光船の止まっている所などで水面がのぞいている所もある。

「諏訪湖畔の足湯」
間欠泉を見ようと諏訪湖間欠泉センターへ行ったら、先ほど吹いたばかり。およそ1時間おきに吹き上げているので、次は40分後。それまで寒いところで待っているのも詰まらないので温泉に入りに行くことにする。このセンターのそばの湖岸に足湯が作られている。平日なのに結構賑わっている。

「片倉館」
少し戻って待望の片倉館に向かう。昭和初期に製糸業者の片倉家が地元のために作ったと言う温泉浴場。ヨーロッパゴシック風で、お城を思わせる建物が2棟ある。
昭和3年(1928)の建築で日本の浴場では稀な洋風建築。尖塔と煙突、水平と傾斜の強い屋根は、非対称の美を表現する。内部には動物意匠の装飾、ステンドグラスのはめ込みなど、童話風の趣がある。設計者は森山松之助とある。
内部はステンドグラスの窓や、大理石をふんだんに使った贅沢な造り。湯船の底に黒い玉砂利が敷かれた千人風呂は、一度に100人以上が同時に入れるように深さが大人の肩まである。入浴料400円、脱衣ロッカー50円也。

片倉館


「上諏訪駅」
湯上りの頬に当たる風は一寸冷たいが、何とも言えない良い気持ちになって上諏訪の駅へ向かう。





お江戸日本橋から下諏訪までの甲州道中四十四宿、五十三里十一丁を完歩し、御神渡りも見たし、温泉もホテルの内湯、精進湯、児湯、片倉館と思い残す事無く浸かることが出来て、満足、満足である。

帰りは15時14分上諏訪発で塩尻へ、塩尻からは15時51分の「特急ワイドビューしなの18号」に乗車する。列車が塩尻峠をトンネルで抜け木曽路へと入って行くと車窓は次第に白一色の雪景色へと変わり、奈良井から薮原の鳥居峠のトンネル前後は激しい吹雪の状態となる。そんな景色をおつまみにして、しばらくは暖かな車内でビールを楽しむ。完歩記念の祝杯である。名古屋からは15時57分の新幹線「ひかり302号」で豊橋へ、豊橋18時35分で二川へ。何時ものように家内のお迎えで我家に帰り、甲州道中の全てを無事に完了する。





        二日目

     
32,736歩(甲州道中正味21,466歩)  ※歩数、距離共に歩数計による
     金沢(茅野)〜下諏訪   19.62q(甲州道中正味12.87q)



        甲州道中の累計

     
431,682歩(甲州道中正味354,122歩)  ※歩数、距離共に歩数計による
     日本橋〜下諏訪   249.43q(甲州道中正味204.98q)


甲州道中の距離219.1qのところ、我が歩測では204.98qとなった。これは歩数計の歩幅を60pでセットしたためで、今回の道中の我が1歩は平均61.87cmであったことになる。今後は3.12%プラス補正すれば良いことが判った。
伊能忠敬に挑戦してみたつもりであるが、計測は歩数計まかせで、途中富士見で街道から外れ駅までの距離を計り忘れ、次回に計り直しをしたりで、とても、とても伊能忠敬には叶わない事が分かった。
一歩一歩、歩いて日本地図を作った彼の偉さが、我々とは桁違いのものであることを痛感した。


ページ公開 平成16年2月27日
ページ改良 平成23年4月30日



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