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伊勢参宮街道独歩記
いせさんぐうかいどうひとりあるき
伊勢参宮街道ウォーク その5
平成17年10月16日(日) <その2>
おはらい町
「おはらい町入口」
宇治浦田町交差点を横切り、一筋目を右に入ると『おはらい町通り』(伊勢参宮街道)である。おはらい町は何度も来ているが、内宮の宇治橋からおかげ横丁までで、ここから入るのは初めて。想像以上に町並みの復元が進んでいる。
「五十鈴塾」
おはらい町に入ってすぐ左に有るのが平成14年に出来た『五十鈴塾』、「暮らしっく日本」をコンセプトに日本の暮らしを考えるカルチャースクールなど、これ赤福の経営。
「祭主職舎(旧慶光院)」
右手にあるシャチホコが乗った立派な門が神宮祭主の宿泊所。明治以前は慶光院という尼寺で、桃山時代の様式を伝える貴重な建物が残る。この鯱をあげた風格ある門は、御師の館から移築したもの。
「五十鈴川郵便局」
その隣に有るのが『五十鈴川郵便局』、伊勢の町屋造りになっていて、前には明治の頃の古い黒いポストがある。
「御師、浦太夫の門」
左手にある門構えが『御師・浦太夫の門』。江戸時代、この町には「御師(おんし)」の館が立ち並んでいた。御師とは全国津々浦々を回って伊勢信仰をひろめた権禰宜たちのことで、全国に伊勢参宮ブームを巻き起こした仕掛人。伊勢を訪れた参宮客を自分の屋敷に泊め、神楽を奏し、お祓して「お札」を授与してもてなしたことから「おはらい町」の名がついたと言われている。残念ながら今、伊勢に御師の館は無く、おはらい町では2カ所残る立派な門だけが住時の繁栄を物語っている。
「赤福本店」
左手にあるのが伊勢の名物『赤福の本店』。赤福は江戸時代中期、宝永4年(1707)年の創業、この本店は明治10年にこの地に建てられた。手早く食べられて、腹持ちがよくて、美味しい餅の茶屋餅が始まり。赤福の名は赤心慶福から来ているとか。白い餅が五十鈴川の川底の白い石を、三筋の指の跡が付いた餡が川の流れを表している。入口にどっかと構えピカピカに光った赤い竈が時代を感じさせてくれる。この座敷に上がって庭を見ながら頂くと旅の疲れを癒してくれる。3個入1盆とほうじ茶で280円。
「山中薬局」
赤福の先を左に曲がると五十鈴川に架かる新橋。ここから見下ろす清流には大きな鯉が泳いでいる。この先の角が山中薬局、切妻が二つ並んだノコギリの刃のようになった大きな建物。『萬金丹』『陀羅尼助丸』『御嶽百草丸』など街道時代からある薬の看板や幟が立っているのが嬉しい。
「おかげ横丁常夜燈」
右奥一帯がおかげ横丁。道中安全の常夜燈が目印で横の立て札には『これよりおかげ横丁』と墨書されている。何時も大勢の観光客で賑わっている。
「すし久」
左手にあるのが『すし久』で、創業は天保年間。梁には明治時代の遷宮時に下賜された古材(明治2年遷宮時の宇治橋)が使われており風情が漂う。建物は由緒ある伊勢の文化資産的なもので、階段横の講札からは、かつて料理旅館であった名残が感じられる。階段を上がって二階の座敷で五十鈴川を見ながら食事をするのは街道歩きのイメージにぴったりである。ここでは毎月末日の夜には落語会、毎月1日早朝5時前からは朝粥が楽しめるとか。
「てこね寿司」
すし久の「てこね寿し」は醤油ダレでヅケにしたカツオがたっぷり乗って、ご飯にはつけダレがまぶしてあり、大葉、ショウガ、海苔などが添えられている。一人前1,050円。この他伊勢芋を使った「麦とろろ」など伊勢路の田舎料理が味わえる。
「他抜きだんらん亭」
左手の格子のはまったお店、庵看板に春日灯籠のような灯りが下がっている。お店の名前の“他抜き”とは“他人抜き”つまりは“夫婦”を意味して、縁起物でもある“狸”にも掛けた洒落。お酒を楽しく呑むための器(ぐい飲み徳利 等)や小物がいっぱい並んでいる。
「名物伊勢うどんの看板」
江戸時代に『生きているうちに食わなければ、死んで閻魔に叱られる』と言い囃されるほど人気だった『伊勢うどん』。雪のように白く玉のように太い麺に、墨のように黒いたまり醤油のタレをかけて食べる。
「岩戸屋」
このお店、小学校の修学旅行で来た覚えがある。明治41年創業の老舗で、岩戸餅やおたふく餅を実演販売しているが、何と言ってもここの名物は生姜糖。古くからの伊勢みやげで、神宮のお札の型をした昔なつかしい味のお菓子。修学旅行の二見の宿でクラス纏めて買った生姜糖の代金の勘定をやらされた記憶が今も鮮明に残っている。
おかげ横丁
「神嘗祭奉祝の市」
おかげ横丁は伊勢名物「赤福」が、『内宮の門前町「おはらい町」の中ほどで、約300年間変わらず商いを続けてこられたのも、お伊勢さんの「おかげ」』という感謝の気持を持って、平成5年7月に誕生させた町。江戸末期から明治初期の風情をテーマに、伊勢路の代表的な建築物を移築、再現している。特徴は「妻入り」と、雨風の強い伊勢ならではの外壁の仕上げ「きざみ囲い」。現在27棟42店舗が入っている。今日は神嘗祭奉祝の市と称して多くの出店が出て賑やかである。
「おかげ座」
横丁の中央の十字路にイベントが行われる太鼓櫓がある。その先を右に入った奥が『おかげ座』で、江戸時代の “おかげ参り”の賑わいの様子を1/2の縮尺模型や映像で見て楽しむ事が出来る。剣玉の赤い旗のおみせは昔懐かしい玩具のお店。
「横丁に飾られた稲穂」
今日は神嘗祭で横丁には刈り取ったばかりの稲が掛けられ、収穫の秋を演出している。背の高いのが「おかげ座」の幟、右の洋館には御木本の真珠のお店も入っている。
内宮
「宇治橋」
『宇治橋』に到着した。午後1時16分、四日市の日永の追分からスタートした今回の「伊勢参宮街道ウォーク」はここで終了する。これからは厳かな気持ちになっての神宮参拝である。この宇治橋は五十鈴川に架けられた神宮の表玄関。長さは101.8m、両端の鳥居は旧正殿の棟持柱が使われている。ここでは人は右側通行、中央は神様の通り道。宇治橋の左の欄干に人だかりがする。
「神嘗祭・お初穂曳き」
何だろうと覗いてみたら、五十鈴川の中を行列が上ってくる。木遣りなのか、伊勢音頭なのか、祝い唄なのかは分らないが、賑やかな唄と威勢の良い掛け声が聞こえる。『大』や『初穂』の幟を先頭に法被と鉢巻姿の大勢の男女が綱を曳いている。その先には紅白の幕で巻かれたそりに鳥居、米俵、稲穂、『お初穂』と書かれた板と幟、町内名の幟などが飾られている。それが幾組かやってくる。ここで上がって神前にお供えするのだろう。珍しい光景を見せてもらった。
「火除橋と一の鳥居」
神苑に入って木立の中の玉砂利を踏んで進むと『火除け橋』があり、その右手に『手水舎』、その先に『一の鳥居』がある。
「五十鈴川御手洗場」
一の鳥居をくぐると参道は左へ大きく曲がる。その曲がり角の右側が『五十鈴川御手洗場』がある。参拝する前に心身を清める場所。緩く幅の広い石段が川の中まで続いておりここで手を清める事が出来る。両岸は鬱蒼と繁る森で、神宮ならでは景色である。未だどの木も紅葉はしていない。
「参道と二の鳥居」
身を清めて更に参道を奥へと進むと、『二の鳥居』がある。
「神楽殿」
二の鳥居をくぐり、左へ行く『参集殿』への道を過ぎると、左手に『神楽殿』を中心とした建物群がある。ここでお札やお守りを受けたり、神楽やご祈祷などが行われたりする。
「内宮御正殿」
右手に『風日祈宮橋』(かざひのみのみやばし)へ、左手に『荒祭宮』への道を過ごすと左が『内宮御正殿』、手前が『御新敷地』で次の遷宮で新しく建替えられるための敷地。次の遷宮は平成25年。その向こうに御正殿がある。御正殿へは数十段の石段を上る。その途中の左右には杉の大木が聳え、ここに太古の昔から神が鎮座し続けてきた事を示している。
社殿の中心は四重の垣根に囲まれた御正宮、唯一神明造で萱葺の屋根に10本の鰹木、4本の千木の先端は水平に切られている。ここには天照大神が祀られている。
なにごとのおはしますかはしらねども かたじけなさになみだこぼるる
西行と同じ気持ちになって参拝する。
「御稲御倉」
参拝後は新御敷地に沿って道を進む。左手に『御稲御倉』や『外幣殿』がある。
「荒祭宮」
石段を上がると『荒祭宮』がある。天照大神の荒御魂(あらみたま)を祀る別宮。説明によると『荒御魂とは神の特別な働きをする状態、または神が現れた状態と言われている』とあるのだが、良く分からない。
「風日祈宮橋」
参道を横切り五十鈴川に架かる『風日祈宮橋』を渡る。ここへはほとんどお参りする人が無く、森閑として実に神々しい。
「風日祈宮」
橋を渡って右に折れて、少し高くなったところに『風日祈宮』がある。風の神を祀る別宮、これも元寇の時に神風を吹かせて日本を守った神。
「火除橋と御厩」
帰りは神楽殿の横を通り『火除橋』を渡ると正面に『御厩』がある。その先に『参集殿』があり『宇治橋』へと戻る。
神宮は2つの正宮、14の別宮、43の摂社、24の末社、42の所管社、合計125の宮社からなる神々の大集落で、その歴史は神代の昔に遡る。笠縫邑から倭姫命に奉祭され鎮座の地を求めてこの地に着いたのが垂仁天皇25年(297頃)。その圧倒されるようなスケールと悠久の歴史に思いをはせると、今、ここに蠢いている自分が如何に小さな物であるかを改めて知らされる。橋の前でしばらく、ただ呆然と佇む中でこの道中を終える。
今日のニュース、朝刊では「イラクで新憲法国民投票の開票始まる」。夜のテレビ中継「パリーグのプレーオフ、ソフトバンクが日ハムを下して2対2に、決着は明日の最終戦に持ち込み」。
今日歩いた記録
21,224歩(伊勢参宮街道正味10,708歩)
12.72q (伊勢参宮街道正味6.42q)
919kcal(伊勢参宮街道正味477kcal)
今日までの累計
156,517歩(伊勢参宮街道正味125,993歩)
93.84q (伊勢参宮街道正味75.57q)
6,779kcal(伊勢参宮街道正味55,89kcal)
ページ公開 平成17年10月29日
ページ改良 平成23年4月30日
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