中山道ウォーク その6


平成14年4月19日(金)     本山から贄川、奈良井まで

平成14年4月20日(土)     奈良井から薮原、宮ノ越まで


昨年の11月2日に第32宿本山宿まで来て以来およそ半年。日脚が長くなり、鳥居峠の雪が融けるのを一日千秋の思いで待っていた。3月の初め、今年の春は特に早く、この三河の地では初夏の陽気になったので奈良井の宿の越後屋さんに電話を入れてみた。ところが鳥居峠はまだまだ厳しく、完全な冬山装備で来ないと無理、来るなら4月の中旬以降との事だった。それから待つ一月は本当に長かった。

今回はいよいよ木曽11宿、中山道の中で最も魅力の有る所。家内をを誘ってみたら本気で行くと言い出した。東海道の53次、中山道の32次まで来て初めての事。めったに無いこと、夫婦仲良く歩くことにする。





初日 4月19日(金)


今回は木曽11宿の内、上の4宿。初日は日出塩から歩き始めて贄川から奈良井で泊まり、翌日は鳥居峠を越えて薮原から宮ノ腰までと決めた。宿は200年の歴史を持つ旅籠の越後屋さん。最初は4月17日(水)で予約を入れたが週間天気予報で二日とも雨。せっかく行くのに・・・と言う訳で無理を言って19日(金)に変更。

7時59分のJRバスで豊橋へ、駅の窓口でキップを買ったら、名古屋までは新幹線を使うとかえって安くなるとの事で、新快速に乗るのを止め急遽新幹線に変更。8時34分こだま405号に乗車。名古屋からは10時00分発のワイドビューしなの11号。木曽福島で11時28分発の普通に乗換え、日出塩に12時02分着。無人の駅で装備を整え、12時10分に街道を贄川に向け出発する。

今朝の朝刊1面にはイタリアのミラノで小型機が高層ビルに衝突の大きな記事。





本山から贄川へ


「桜が咲いた日出塩駅」
前回はここで上がり、電車を待つ1時間全山紅葉の景色を楽しんだ。今回はここからの出発、季節が変わり、今は桜が満開である。

「木曽の看板」
間の宿の日出塩を出て間も無く国道19号に合流。右手に奈良井川左手に中央本線の線路を見ながら行くこと約1q、右手に大きな木曽の看板。いよいよ木曽に入る。

「是より南木曽路の碑」
直ぐ先、満開の枝垂桜の下に是より南木曽路の碑。いい季節に来れたことを感謝する。

是より南木曽路の碑

「馬頭観音」
碑の前で国道を横切り向かいの崖を左へ戻るように階段で登る。急傾斜の畑地を抜けると馬頭観音など数体の碑、防護フェンス脇を歩いて国道に下りるとそこが桜沢集落。

「桜沢茶屋本陣跡」
右手に立派な門のある家、前に『明治天皇御小休所』の碑。ここが藤屋栄左衛門茶屋本陣の跡。

桜沢茶屋本陣の跡

「若神子の水場」
国道を行き片平の集落を過ぎ、若神子の集落で右の旧道に入る。若神子バス停前に水場。木曽路に入った気分がする。

若神子の水場

「諏訪神社」
道が急カーブし下りになる所、右手に諏訪神社。

「道祖神・石碑群」
左手に道祖神など幾つかの碑が並んでいる。

道祖神・石碑群


「中央線・国道19号線を見下ろしながら」
左にJRと国道を見下ろしながら花の咲き乱れる道を下ると程無く贄川の駅に着く。

「JR贄川駅」
駅前に木曽風の建物の関所亭と言う食堂が有り、やっと昼飯にありつく事が出来た。13時30分。





     贄川


    中山道第三十三宿 贄川宿


     所在地 長野県木曽郡楢川村
     最寄駅 JR中央本線贄川駅
     本陣1、脇本陣1、旅籠25、総人口545、家数124
     奈良井へ 1里31町(7.3q)

「関所橋」
14時出発。駅を過ぎて左にJRを跨ぐのが関所橋。橋の両側に長短のパイプが下がっておりこれを叩いて行くと木曽節のメロディーが鳴る。

「口留番所跡」
橋を渡って左下に下ると復元された口留番所跡。残念ながら工事中で写真が撮りにくい。中は以前に見たことがある。

口留番所跡

「宿の街並」

贄川の宿は度重なる火災で宿の殆どが焼け、古いものは残っていないと言う。

宿の町並み

「麻衣廼神社」
宿の中程、右手に麻衣廼神社、観音寺への道があり碑と解説板がある。この入口の右手に本陣、左手に脇本陣が有ったとガイドブックにはあるが、何の表示も無く確かめ様がない。

「桝形」
桝形の右手にトタンで覆われた水場があり、左の向こう角には出梁造りの古い民家がある。水場の前に車が停まっており写真が撮れなかった。





贄川から奈良井へ


「押込一里塚跡」
贄川の上の桝形から、ガイドと違って工事中の新しい道を行き、やがて国道と合流する。桃岡の集落で左の旧道に入る。集落の出口、右手畑の中に1里塚の標柱。

押込一里塚跡

「木曽漆器の町平沢」
国道に出て桃岡橋を渡り、JR中央本線のガードをくぐり、長瀬の集落では左に分かれ旧道を行く。国道に戻り、程無く右手に『木曽漆器の街平沢』の看板と道の駅、役場、平沢駅の案内標識がある。

「道の駅木曽ならかわ」
案内標識に従って右に分かれるのが旧道。国道との間に道の駅があり、木曽くらしの工芸館や、ならかわ市場がある。中は見たことがあるのでお天気情報だけ見て通過する。

「芭蕉句碑」
物見坂といわれるところ(大した坂ではない)過ぎると楢川村役場前。駐車場の右手に芭蕉の句碑が立っている。正面に芭蕉翁、裏に句が刻まれている。宝暦11年(1761)の建立とか。
       送られつをくりつはては木曽の秋

芭蕉句碑

「諏訪神社」
句碑の奥を右に上がると諏訪神社。

「二十三夜碑」
諏訪神社の前を横切って向こうへ下ると平沢の街になる。下る途中左手に二十三夜碑とその解説板が立っている。この碑は文化7年(1810)の建立。

二十三夜碑


「平沢の商家」
平沢は漆工芸の街。その昔は奈良井が本場だったとか。

「平沢の家並」
漆器の店が並ぶ。店の展示は漆器であるだけに何処となく上品な感じがする。

   
平沢の家並


「奈良井川橋」
平沢の街を出て、うるし橋を右に見て、左のJRの踏切を渡る。遠くに見えるのが奈良井橋。

「楢川小学校」
国道と奈良井川の間に総ヒノキ造りの楢川小学校。川沿いの通学路は今桜が満開、国道を行くのを止めてしばらく花の下を歩く。

「奈良井駅」
奈良井橋を右へ渡って線路沿いを行くと、奈良井の駅に着く。





     奈良井


    中山道第三十四宿 奈良井宿


     所在地 長野県木曽郡楢川村
     最寄駅 JR中央本線奈良井駅
     本陣1、脇本陣1、旅籠5、総人口2,155、家数409
     薮原へ 1里13町(5.4q)


「奈良井宿の看板」
駅前に奈良井宿の大きな看板。

「木曽路奈良井宿の碑にて」
駅前の碑の前で夫々に記念撮影。

木曽奈良井宿の碑にて

「桝形」
この先右手に桝形の石組みが残る。ここから八幡宮へ抜ける道が古い中山道。八幡宮へは明朝に行く事にして、早速宿に入る。

桝形

「奈良井宿下町の家並」
下町、中町、上町と続く。

奈良井宿下町の町並み


「下町の水場」
宿に入ってすぐ右手に下町の水場がある。昔は土地の人や旅人が使った貴重な水であった。

下町の水場


「下町、民芸の花野屋」
軒には暖簾が下がり、花が生けられて木曽路の旅情を誘う。

下町、民芸の花野屋

「下町、民宿の津ち川から中町を望む」
右に民宿津ち川の庵看板に連子格子。中町方面を望む。奈良井千軒と言われ木曽路随一の宿場だった昔の賑わいが偲ばれる。

「下町の家並」
一階は格子に板大戸、二階に手摺欄干のある出梁造り、典型的な木曽の町屋である。

「木曽の大橋」
左手の喫茶松屋茶房の横の細道に入り、JR線路を渡る(まともな踏切ではないので要注意)とその先にふれあい広場。そこに奈良井川に架かる木曽の大橋がある。総ヒノキ造りのアーチ型。複雑な木組みで出来ている。

木曽の大橋


「お土産屋さんの花筏」
軒に灯りが燈った。

「お土産屋さんの越後屋」
午後4時観光客の姿が無く軒行灯の灯りが目に入る。


お土産屋さんの越後屋

「保存地区選定の碑と水場」
宿の中程右手に碑と水場がある。碑には『重要伝統的建造物群保存地区、楢川村奈良井伝統的建造物群保存地区、昭和53年5月31日選定』とある。

保存地区選定の碑と水場

「中町の家並」
中町から上町を望む。だいぶ暗くなってきた。

「郷土館徳利屋」
天保年間(1830〜1844)の創業、両替商や脇本陣も勤めたと言われる旅籠徳利屋、今は郷土館として公開されている。

郷土館徳利屋

「池の沢水場」
昔は7箇所に水場が設けられていたが、今は5箇所が残っている。

「旅籠越後屋」
中町の左角にある旅籠越後屋。ここが今夜の宿。この向かい少し入った所、公民館が本陣跡。この本陣は規模が小さくその前で行列を揃える事が出来なかったので、この辺りの道幅が広くなっているとか。

旅籠越後屋

「脇本陣兼下問屋だった伊勢屋」
中町の右手、軒に昔ながらの御休泊の看板が下がった御宿伊勢屋。昔は脇本陣兼下問屋だった。

伊勢屋

「上問屋資料館」
前に大きな石碑が二つ立ち、二階の軒に『て津可』の下げ看板。ここが上問屋と庄屋だった手塚家で今は資料館になっている。

上問屋資料館

「鍵の手」
中町から上町への境に鍵の手があり、道が屈曲している。

「鍵の手の水場」
鍵の手の右に水場、左に荒沢不動尊があり、その脇に大きな道祖神がある。

鍵の手の水場

「上町の家並」
上町の家並は時間のせいか、お店が少ないせいかひっそりとしている。

「ランプの燈った越後屋」
上町でUターンし越後屋まで戻ってきた。格子の影、軒の釣り看板、いい雰囲気だ。午後5時、格子戸を開けて一夜の宿を乞う。入口の土間の脇が店の間で『ゑちごや』の旅籠行灯が温かな光を放つ。土間の壁に掛けられた多くの講札。御岳講の物がある。中の間は吹き抜けになっていて二階への階段があり、長押には火消しの鳶口等が掛けられている。部屋は急な階段を上がった二階の奥の部屋。時間が200年逆戻りした気分。ヒノキの風呂に浸かって今日の疲れを取る。

ランプの燈った越後屋





夕刻5時に越後屋さんに入る。自宅に居れば未だ午後の時間だのに、ここでは山間の為か薄暗くこれで一日が終わったと言う感じ。6時過ぎから夕食、部屋へ運んでくれる。若女将が一つ一つお料理の説明をしてくれるが、どれも一口で食べてしまいそうな量。鯉のあらい、野菜の煮物、胡瓜の酒粕和え、かなもぐら(山菜)のおひたし、茶碗蒸、きのこの三杯酢、ささげのごま味噌和え、山芋の風味しょう油が出て、次いで岩魚の山椒味噌焼、山菜の天婦羅、漬物にお吸い物そしてご飯。最後のデザートにはメロンが出た。木曽の味を楽しみながらお酒で頂く。食事の後は宿場の夜を体験すべく歩きに出るがどこも真っ暗で行くところ無し。歩いてはみたもののあまり収穫無く戻る。部屋にはテレビもラジオも新聞も無く、世間から情報が途絶している。ドームでの巨人阪神戦を見る事が出来ない。
何もする事無く9時に布団に入る。部屋にはガスストーブ、布団には電気毛布がセットされている。ストーブは点けず電気毛布も早々にスイッチを切って寝る。おやすみなさい。


       27,591歩
       本山〜奈良井      15.2q


ページ公開 平成15年1月29日
ページ改良 平成22年11月4日
 写真追加 平成22年12月4日


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